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初めての人ほど「どれを選べばいい?」と迷うスノーボード用ゴーグル。実は、基本の構造と必須機能を押さえた上で、VLT(可視光線透過率)、“見え方の基準”を理解すると、候補は一気に絞れます。
本記事は、まずゴーグルの役割や構造、フィットの要点をやさしく解説。次に天候・時間帯で最適なVLTレンジを早見表で提示し、最後は用途別のおすすめを紹介します。

ここでは、スノーボードのゴーグルの役割と基本構造や、形状と視界について、フィット感やヘルメットとの相性の関係などを詳しく紹介します。これらを把握しておくことで、このあと紹介するVLT基準についても理解しやすくなるはず。スノーボードのゴーグル選びをスムーズに進めるために、まずは基礎を理解しておきましょう。
スノーボードでゴーグルが必要なのは、雪上という特殊な環境で目を守り、視界を確保するためです。
ゲレンデは紫外線や反射光が強く、裸眼では目の負担や疲れが大きくなります。さらに風や雪、雨が目に直接当たれば視界が乱れて危険をともなうことも。ゴーグルをかければ、UVを遮り眩しさや疲労を軽減しつつ、気象要因からも目を保護できます。
加えて、雪煙や小さな氷片が舞う状況でも視界を安定させられるため、滑走中の集中力の維持にも役立つでしょう。視界が確保されることで斜面変化への反応も早くなり、より安全性が向上するはずです。
さらに、ゴーグルには転倒時の衝撃から目を守る役割も。安全で快適な滑走をするための、必須装備といえるでしょう。
ゴーグルの構造は、視界の安定性や快適性を大きく左右する要素です。
ダブルレンズ構造のゴーグルは、外側と内側のレンズの間に空気層をつくることで温度差を抑え、曇りの発生を大幅に軽減する造りになっています。
ベンチレーション(換気機能)を持つゴーグルは、レンズ上部や側面に配置された通気孔が内部の湿気を逃がし、湿気がこもることによる視界の低下を防ぎます。滑走中の呼気や雪による曇りを抑えるために、レンズ内側に曇り止めコートが施されているゴーグルも多く、クリアな視界を長時間キープすることが可能。
これらの機能がしっかり備わっていれば、気温や気候が変化するゲレンデでも視界の安定感が増し、滑走中の快適さや安全性が大幅に向上します。
ゴーグルのレンズ形状は、視界の広さや歪みの少なさに直結する重要なポイントです。
平面レンズはレンズ面がフラットで、視界の歪みが少なく、どんな人にもフィットしやすいのが特徴。価格も比較的手頃で扱いやすく、初級者〜中級者にも選ばれやすいタイプです。
一方、球面レンズは立体的なカーブを持ち、広い周辺視野を確保しやすいのが特徴。レンズが硬くて丈夫な物が多く、容積が大きいので圧迫感も気になりません。顔の形に沿った形状のためレンズと目の距離が離れ、曇りにくいのもうれしいポイントです。
視界の広さを重視するなら、足元の視界が広く見える、レンズ下側が丸みを帯びたデザインがおすすめ。一方、レンズのカーブが均一で光が真っすぐ入るモデルは視界の歪みが少なく、距離感が掴みやすい傾向にあります。
スノーボードのゴーグルを選ぶ際は、フィット感についてもぜひチェックしたいところです。フィット感が高まることで、雪や風から目を守る能力が向上します。また、ヘルメットとの相性も重要で、ゴーグルとヘルメットの相性が良いと、さらにフィット感が良くなる傾向に。
ヘルメットとの相性が良いゴーグルとしておすすめなのが、本体の外側からベルトが伸びる構造をしているアウトリガーゴーグルです。ベルトとヘルメットとの干渉が減る構造になっているので、ゴーグルがフィットしやすくなります。
また、眼鏡をかけている人は、OTG対応モデルを選ぶことで快適に装着することが可能。OTGは「Over the Glasses」の略で、眼鏡をかけたまま着用可能なゴーグルのことを指します。眼鏡が内部に収まるように、ゴーグル内部に広めの空間が確保されており、眼鏡を日常的に使用している人でも快適にスノーボードを楽しめるでしょう。
続いて、ゴーグルの見え方を数値で表す「VLT(可視光線透過率)」の指標について解説します。VLTを理解すれば、晴天・降雪・ナイターなどさまざまなシーンに対して最適なゴーグルを選べるようになります。
国際的なS0〜S4の基準、天候別のおすすめレンジのほか、調光・偏光・ミラーの特徴や1本運用での落としどころについても詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
VLT(可視光線透過率)は、レンズを通してどのくらい可視光(人間の目に見える光)が通過するかを示す割合を指し、数値が高いほどレンズは明るく見え、低いほど暗く見えるようになります。国際的にはS0〜S4のカテゴリーで分類されることが多く、それぞれの目安は以下のとおりです。
最適なVLTレンジは滑走シーンによって異なります。以下にシーンごとの早見表をまとめたので、参考にしてください。
この早見表を基準にし、自分がよく滑る環境や時間帯を考慮して複数本を用意すると良いでしょう。1本で運用するのであれば、中間レンジに調整したレンズを選ぶのがおすすめです。
| 天候・光の状態 | 推奨VLT | 見え方 |
| 快晴・強い日差し | S3(8〜18%) | 強い太陽光を抑え、コントラストを明確に保つ |
| 薄曇り・標準的な日差し | S2(18〜43%) | 明るさと視認性のバランスが良好 |
| 雪・吹雪・曇天 | S1(43〜80%) | 暗さを和らげつつ雪面の陰影を捉えやすい |
| ナイター・夜間滑走 | S0(80〜100%) | 明るさを最大に確保し、安全な視界を維持できる |
レンズには調光・偏光・ミラーといった種類があり、タイプごとに視界の傾向が変わります。
【調光レンズ】
光量に応じてレンズの調光が変わるため、晴天時から曇天時まで適応可能です。1本で使い回したい人向きですが、変化速度や色味は製品差があるため、購入時に仕様を確認しておくことが重要。
【偏光レンズ】
雪面の強い反射を抑えるのに優れており、コントラストをシャープにして視界をクリアにしてくれます。晴天時の反射光が強い状況では非常に効果的ですが、暗い天候やナイターでは見えにくくなる場合があります。
【ミラーレンズ】
反射コーティングにより強い日差しに強く、見た目のデザイン性も高いレンズです。ただし光量が不足する曇天時やナイターでは不向き。
1本で運用するなら、天候が変わりやすいシーンでも視界を保ちやすく、コスパと実用性のバランスが取れている調光レンズが最有力といえるでしょう。

スノーボード用のゴーグルは、目的や使い方によって選ぶべきタイプが異なるため、自分がどのような使い方をするのかを整理しておくことが重要です。ここでは、交換スピード重視、1本運用派、眼鏡ユーザーといったタイプ別に、それぞれの強みや注意点、おすすめの商品などを紹介します。
| 得意コンディション | メリット | デメリット | |
| 調光レンズ搭載ゴーグル | 周囲の明るさが変化しやすい環境 | ・ゴーグル交換をしなくて済む ・荷物を増やさなくて済む | ・商品によって反応速度や色の変化幅に差がある |
| マグネット式ゴーグル | 天候が変化しやすい環境 | ・素早く交換できる ・メンテナンスしやすい | ・価格が高めな傾向にある ・商品によって磁石の耐久性や保持力に差がある可能性がある |
| OTGゴーグル | 商品によってさまざま | ・視力を維持しながらスノーボードを楽しめる | ・商品によってはゴーグル内が狭く感じることがある ・フィット感が弱いと圧迫やズレが起きることがある |
マグネット式ゴーグルは、フレームとレンズに磁石を入れており、素早くレンズ交換が可能なモデルです。ポケットに替えのレンズを入れておけば、急な天候変化にも対応可能。天候が変化しやすい環境での対応力を重視する人には、ぴったりの製品だといえるでしょう。
強い衝撃や転倒時など、マグネットだけでレンズが外れないかが心配な場合は、ロック機構(レバー式・ツメ式など)を搭載しているモデルがおすすめ。レンズ交換の早さとホールド力を両立しており、快適かつ安定したゴーグルが欲しい人にぴったりですよ。
マグネット式ゴーグルのおすすめモデルは、以下のとおりです。
レンズ交換にマグネット式システムを採用しており、簡単にレンズを着脱できるため、雪や雨が降る中でも手早く交換できるゴーグル。平面系のレンズで広い視界が確保でき、別色のスペアレンズがセットになっているので、晴天・曇天どちらにも対応可能です。トリプルレイヤーフェイスフォームやシリコン加工ストラップなど、フィット感や装着感にも配慮された作りになっています。
曲率のあるトーリックレンズを採用しており、視界の歪みを抑えつつ広い視野を確保できます。5Kレンズテクノロジーと調光機能により、光量や天候の変化に柔軟に対応している点も魅力。フレームシールで風や雪の侵入を防ぎながら、ダブルレンズとアンチフォグコートが曇りを抑えてくれる構造です。さらにOTG(眼鏡対応)も備え、眼鏡ユーザーにも使いやすい設計となっています。
調光レンズ搭載ゴーグルは、紫外線や光量に応じて自動で色濃度が変化し、明るさをコントロールできるモデル。晴天時・曇天時・薄暗い日など、幅広い条件に1本で対応したい場合に重宝します。
ただし、調光の変化速度には限界があり、急激に明るさが変わる場面では若干のタイムラグが発生します。また、調光の変化幅は製品によっても差があり、晴天の強い照り返しに濃度が足りないケースや、ナイターでやや暗めに感じるケースなども。
そのため、「1本でできる限りカバーしたい」「交換作業が面倒」という人には向いていますが、快晴専用やナイター専用のように、尖った性能を求める人には物足りない場合もあります。調光は便利ですが、あくまでバランス型である点を理解して選ぶことが重要です。
以下に、おすすめモデルを記載しているので、ぜひ参考にしてください。
光の変化に応じてレンズ濃度が変わり、晴天の強い日差しから曇天や薄暗い雪の日まで、1本で幅広いコンディションに対応。視界はクリアでコントラストをはっきり出す特性があり、地形変化や雪面の陰影も把握しやすいのが特徴です。さらにコーティングやベンチレーションを備えることで、曇りにくさにも配慮されています。
標準の調光レンズとボーナスレンズの組み合わせで、より明るい日差しや雪面の反射にも柔軟に対応できるモデルです。低刺激フォームと顔へのフィット感を高める「ローブリッジフィット」デザインにより、快適な装着感を実現。アンチフォグコーティングやベンチレーションにより曇りにくさにも配慮。調光レンズの機能性と複数レンズの交換対応力を両立させた、1本で多シーンをカバーしたい人向けのゴーグルです。
眼鏡をかけている人でも、そのままゴーグルを装着できるよう設計されたOTG(Over the Glasses)ゴーグル。ゴーグル内部に眼鏡のつるが収まるスペースを確保していたり、ゴーグル内の空間を広くして眼鏡との干渉を軽減していたりと、眼鏡ユーザーが快適に使用できる仕組みとなっています。
視界をしっかり確保するためには、眼鏡とゴーグルの位置がずれないように調整することが重要です。眼鏡のフレームがゴーグル内部で押されないか、鼻当てや頬に余計な圧がかからないかを試着時に確認しましょう。さらに、眼鏡が曇らないようにするために、ベンチレーション(換気孔)の位置と通気の流れが確保されているかもチェックが必要です。おすすめモデルは、以下のとおり。
視界の広さと使いやすさを重視した眼鏡対応ゴーグル。左右の視界が広い成形球面レンズを採用し、ダブルレンズとくもり止め加工で視界をクリアに保ちます。UVカット(99.9%以上)で紫外線から目をしっかり保護し、ヘルメット装着にも対応。日常的なゲレンデ滑走で使用する人や、初心者〜中級者におすすめの1本です。
ゴーグル内部の空間を最大限に確保したラージサイズモデルで、眼鏡のフレームやつるとの干渉を抑えながら、長時間でも快適なフィット感を実現。ズレ防止加工を施したウルトラワイドストラップや、素早い装着・脱着が可能なクリップバックルなど、日常の使い勝手にも配慮されています。基本性能を押さえつつ、眼鏡ユーザーでも快適かつクリアな視界を保ちたい人におすすめの定番OTGゴーグルです。

スノーボード用のゴーグルはデザインやスペックだけではなく、「自分の顔に合うか」「ヘルメットと干渉しないか」「曇りにくい運用ができるか」といった実用性が満足度を大きく左右します。
ここでは、購入前の試着で確認するポイントや、スキー場ですぐに使える曇り対策、お店で選ぶ際のチェックポイントを紹介します。
ゴーグル選びで最も重要なのが「フィット感」です。ゴーグルと顔の間に隙間ができていると、そこから冷気や雪が入り込み、曇りや視界不良の原因になります。購入時は必ず試着し、ベストな状態で使用できるかどうかを必ずチェックするようにしましょう。また、ヘルメットを併用する人は必ず試着時に持参し、ゴーグル上部との段差や、干渉が起きないかどうかを確認することも大切です。
さらに、周辺視野の広さも安全性に直結するため、見逃せないポイント。レンズの形状やフレームの厚みによって横方向の見え方が大きく変わるため、試着した状態で左右を振り、死角ができていないかをチェックしましょう。滑走中に生じ得る違和感を避け、長時間でも快適に使えるかどうかを事前に確かめることが、購入後の満足度につながります。
ゴーグルを曇らせない運用方法として重要なのが、レンズの内側を擦らないことです。特に濡れた状態でレンズの内側を拭くと、曇り止めのコーティングが剥がれ、曇りやすくなるため要注意。
滑走中に曇りが気になる場合は、ベンチレーション(通気口)を塞がないようにし、汗をかいたあとはすぐにゴーグルを顔から外して換気するのがポイントです。ゴーグルを使用したあとは、ケースにしまう前にしっかり自然乾燥させることも忘れずに行いましょう。
お店でゴーグルを選ぶ際は、使用環境と自身の滑走スタイルに合ったスペックを基準にします。価格帯は1〜3万円を中心に、レンズの種類(VLT、調光、偏光、ミラーなど)や機能性で予算に応じて検討すると良いでしょう。サイズは、顔幅や骨格に合うかどうかを必ず試し、フレームが大き過ぎたり小さ過ぎたりしないかを確認します。
レンズカラーは晴天・曇天・ナイターなどの使用シーンから逆算し、VLT(可視光線透過率)に合った色味を選ぶことが重要です。フレームカラーは好みで問題ありませんが、明るい雪面に反射しにくい落ち着いたカラーが人気。また、ストラップの伸びやすさ、調整のしやすさ、ベンチレーションの構造など、細かい造りを確認しておくと失敗を防ぎやすくなります。
スノーボード用のゴーグル選びでは、初心者のうちは特に迷ってしまいがちですが、“自分目線”を最優先に選択することが大切です。ゴーグルの構造やフィット感、レンズの種類、VLT、使用環境などさまざまな点を考慮し、ぴったりなものを選ぶようにしましょう。
なお、最適なゴーグルで快適にスノーボードを楽しめるように、訪問予定のスキー場の天候状態を把握しておくのもポイントのひとつ。
以下のページではスキー場の天候や積雪情報を素早くチェックできるので、ぜひあわせて活用してみてください。
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